2015年8月15日土曜日

No.055(「人生に、中途半端なし」藤岡弘さん)

「人生に、中途半端なし」藤岡弘さん

NHKの朝の連続テレビ小説「あすか」で、菓子職人を目指す主人公を厳しく鍛える
父親「禄太郎(ろくたろう)」を演じている。
視聴者からは、「もっと、娘に優しくしてあげて」という声が届く。しかし、「子供と
真っすぐ向き合っているから、厳しいんです。家族とは何かを問いかけたい」。
愛媛県で生まれ、高校卒業後、地元の会社に就職したが、まもなく俳優を志し、3
万円と武道着を持って上京した。1971年、テレビ番組「仮面ライダー」の主役に抜
てきされた。しかし、放送開始直前、撮影中にバイクで転倒し、左脚を複雑骨折、い
ったん降板。
再起不能とも言われたが、必死のリハビリを続け、復帰した。
「ゼロからの出発を何度も繰り返した。ぼくの人生に中途半端はなかった」
そんな体験を語ってほしいと、最近、講演の依頼 が後を絶たない。「ぼくは本音し
か言えない。ときには大声でしかりつける。でも、涙を流して聞いてくれるやつがい
る」
ドラマの撮影のため、大阪のスタジオと東京の自宅を新幹線で往復する日々が続
くが、合間をぬって、1カ月に1度ほど、車を飛ばし、山に行く。
「岩からしみ出したばかりの水を、タンクにたっぷりくんでくるんです。それを飲
むと、生かされているなあと感じます」
柔道や空手、抜刀道など段位は計20段以上。自宅の道場で毎日、冷水を浴びて
身を清め、真剣を振る。「15分。あるいは2時間。座してめい想する。全身に気がみ
なぎります」
もらった名刺を見ると、名前の最後に「、」が打たれている。
「周囲に流されることなく生きていけるように。藤岡弘、いまだ未完成。そんな思いを
込めてあります」。53歳は、どこまでも熱かった。

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