不可能という言葉を捨てよ
彼はそれまで、うだつの上がらないセールスマンだった。いつも
「それはできない、不可能だ」という思いが、彼の頭の中を占領し
ていた。
しかしある日、「成功哲学」の著者ナポレオン・ヒルの話を読む
と、こんな話が書いてあった。著者のヒルは若い頃、「不可能」と
いう言葉によって不運をかこっていた男だった。彼は失敗と不幸の
人生を送っていた。
物書きになりたかったヒルは、言葉をマスターしようと、辞書を
買い求めた。ある日、不可能という嫌な言葉ときっぱり手を切らな
ければならない、という思いが浮かんだ。
ヒルは、辞書に出てくる不可能の文字を切り取り、くしゃくしゃ
に丸めて火の中に入れた。
ヒルのこの話を読んだセールスマンは、自分も全く同じことをし
ようと思った。彼は自分の家にある辞書から、「不可能」という項
目を切り取って捨てた。
もちろん、この行為自体は単なる象徴的なものにすぎない。しか
し、そのときの彼には何か劇的なものが必要だったのである。
実際、それは彼の内心に明確な影響をもたらした。みじめな不可
能の思いが、じつに素晴らしい可能性に取って代わられた。彼は辞
書からだけでなく、心の中からも「不可能」という言葉を追い出し
たのである。
彼は以前なら、何かの計画に着手したとき、もしかしたらこれは
できないのではないかという不安が忍び寄り、情熱に水をさし、不
可能という言葉が心を占めたものだ。そして結果は、疲れ果て、打
ちのめされたうえに、敗北した。
しかしその日からは、何かをやる気になると、それをやり続ける
力がわいてきた。そして、多くの成功を勝ち取るようになったので
ある。
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