2015年8月15日土曜日

No.071(ガリレオの生きた時代③)

ガリレオの生きた時代㈫

ガリレオは、たくさんの客たちに取り巻かれ、自分の発見について話をしてくれるよう
に頼まれた。彼は、太陽が宇宙の中心であることを望遠鏡がはっきり示してくれたこと
を話した。
「しかし、大地がまわるということは、私にはどうも不思議に思えるんだがな。」と、
一人の坊さんが言った。その坊さんは太った、、小さな男で、細かい宝石をちりばめた
指輪をさした短い指で、ガリレオに合図をした。「もし、聖書に述べられているよう
に、神がこの大地を、人間が住むようにつくられたとすれば、神はこの宇宙の中で地球
を最も重要なものとされたに違いない。万物の創造者である神が、地球ほどには重要で
ないほかの星たちを地球の周りを回るようにつくられたのだから、中心になっている地
球が回る必要はないのではないかね?」

ガリレオがその問いに、皮肉を込めた返事をしようとしたとき、自分の横で、ある人が
穏やかな声で話し始めた。
「ギルバートさん、まあまあ。あなたは数学的な問題には関係のないような議論をおは
じめになったようですね。ガリレイ氏は、神学的な問題を論じる暇はないと思います
よ。この先生の数学的な問題の方が、私たちにとって、より大切なんですから。」
そういったのはやはり坊さんで、その人は背が高く、しっかりとした顔つきをしてお
り、目が青かった。その人は、当時流行の口ひげをはやしており、それは短く、角ばっ
てかりこまれ、くちびる全体を覆い隠すように、はしが少し下がっていた。その坊さん
は、ガリレオを親しそうなまなざしで見て、先の坊さんが話し始めた事柄をそらすよう
な、科学的な質問をした。ガリレオはこの人を覚えておこうと思った。この坊さんな
ら、ローマでの私の冒険を助けてくれるに違いないと、ガリレオは考えたのであった。

時がたって、お客さんたちがみんな帰った後で、トスカーナ大使のジュリアモ=デ=メ
ディチは、ガリレオを、若い、立派な服装をした男に引き合わせた。
「ガリレオ先生、こちらはフレデリコ=チェッシー殿下です。殿下は、あなたに個人的
にお会いしたいと申し出られたのです。」
「私は、この機会のくるのを待ち望んでいました。ガリレイ教授」と殿下は手を差し伸
べながらいった。
「私の方こそ、お目にかかれて光栄に存じます、殿下。」とガリレイは、相手にふさわ
しい礼儀を心得て答えた。
「私はローマで新しい友人を見つけたいと願っています。」
「先生、それなら方ご心配には及びません。あなたはもうたくさんの友人を持ってい
らっしゃいます。あなたの書かれた『星からのたより』は、ローマの待ち中にあなたの
味方を作ったのですよ。正直なところ、私が後に残ったのは、そういうあなたの友達か
らのことづてをあなたにお伝えするためなのです。」
「これはいたみいります。」

その時ちょうど、トスカーナの大使がせきをしたが、それを聞いて、殿下は不思議そう
な顔をした。そのせきは、大使が寝室に行くという合図なのであった。大使が行ってし
まうと、ガリレオとチェッシー殿下だけが残された。
「私は、今起こりつつある、新しい学問を研究する熱心な人々のグループを、ローマで
集めました。たいていは若い貴族で、それぞれ科学の特定の分野に関心を持っていま
す。たとえば、私は新世界(アメリカ)から持ちかえられた食物の標本の研究をしていま
す。しかし、一番大切なことは、われわれが団結して、アリストテレス学者たちのくた
びれた、使い古された考えに挑戦することです。私たちは、自分たちのことをリネ
キュース科学者同盟と呼んでいます。」

「それは不思議な名前ですね。どこから出てきたんですか?」
「ギリシャの神話にアルゴノート(アルゴーという船に乗って遠征したという勇士た
ち)というのがありますが、そのなかにリネキュースという人がいましてね。彼は鋭い
観察力を持っていたので有名です。私たちはその人の名を取って、普通の学者よりも将
来を見通し、より明らかなものをながめたいと思ったのです。」
「この世の中にそういう方々がおられることを知って、大変うれしく思います。私はご
くわずかな人ードイツの天文学者ヨハンネス=ケプラー、それにベネチアにいるパウロ
=サルピ神父などしか知りません。将来を見通す勇気を持っている人は、ほんのわずか
しかいません。自分たちの事を誇らしげに学者と呼ぶ人たちの大部分は、まるでカメの
ように、権威という硬いこうらの下に頭をひっこめて、安全を願う連中ばっかりで
す。」




【参考情報】☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
現在池袋のサンシャインプラネタリウムで地球を動かした人たち”天動説 VS 地動
説”という作品が上映されています。
《作品内容》
16世紀後半の中世ヨーロッパで、歴史に残る偉大な2人の天文学者が偶然にも、同じ
場所で仕事をしていたのです。デンマークのチコ・ブラーエとドイツのヨハネス・ケプ
ラーです。チコは当代随一の天体観測家、その助手で25歳年下のケプラーは、数学の
天才で理論家でした。何しろこの2人は何から何まで正反対、生い立ちは貴族と貧乏
人、性格は強気と弱気、そして決定的な違いは天動説を指示するチコに対して、ケプ
ラーは密かに地動説を信じていたのです。陽と陰、絶妙なコントラストをなすこの2人
の天文学者が、地動説を確立するための重要な存在になったのです。

期間は2000年3月10〜9月3日(日)まで。入場料は800円です。
投影時間は、平日12時から17時までの毎時0分から、土・日・祝は11時から17
時までの毎時0分から、各回50分の入れ替え制です。
詳しい問い合わせは、03−3989−3466 です。
ホームページは  http://www.sunshinecity.co.jp  
ぜひ、おすすめの作品ですよ。

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