2015年8月16日日曜日

No.090(ユダヤ教安息日にコンピュータを使う方法:イスラエル)

ユダヤ教安息日にコンピュータを使う方法:イスラエル

もし、あなたが正統派ユダヤ教徒の宇宙科学者だったとして、戒律で電気を使うこと
が禁止されている安息日に、あなたがコントロールしていた人工衛星のコンピュー
タが誤作動し、それを直すために緊急に信号を送らねばならなくなったとしたら、ど
うするだろうか。
そんな時、エルサレムにある「サイエンス・ハラハー研究所」を訪ねてみれば、答えが
見つかるかもしれない。ここは、3000年の歴史を持つユダヤ教の戒律集「ハラハー」
と、現代の最新鋭の科学技術との融合という、深遠な目標を掲げ、日夜、研究に取
り組んでいる場所なのだ。
この研究所の建物は古くさい石造りで、内部も雑然としているが、ご安心召され。
この研究所の技術者と、ユダヤ教の法律学者(ラビ)が力を合わせれば、最新の技
術を駆使して、宇宙科学者のあなたのために、ユダヤ教の戒律に違反しない、ラビ
の承認シールを貼った、安息日用のキーボードをこしらえてくれるだろう。それをコン
ピューターにつなげば、安息日でも胸を張って衛星を修理できるというわけだ。

「ここでは、科学技術の進歩に合わせてユダヤ教の戒律を書き換えることなどはい
たしません。そうではなくて、戒律に合わせて技術の方を手直ししているのです」
とは、この研究所で電気技師兼顧問のデビッド・バネット氏の弁だ。
もう一人、この研究所でハラハー研究担当の主任をつとめ、神学者でもある超保守
の正統派ユダヤ教信奉者、ラビ・イツハク・ハルペリン師は、ペンキがはげ落ち、安
物のカーテンがかかった窮屈な研究室で、ヘブライ語で書かれた革表紙の分厚い
経典を、首っ引きで調べ続けている。
師は、深く窪んだ目がらんらんと輝き、頭にはユダヤ教徒であることを示す黒い頭蓋
帽、ふさふさした髭をたくわえた風貌で、クローン人間の複製や、飛行機を使った遺体
の搬送方法(聖職者の遺体を運ぶ時に問題となる)など、現代的な事柄を、古代の経
典に書かれた戒律でどう読み解くか、という問題を解決している。

ハルペリン氏によると目下、最大の研究テーマは、安息日にどうやって電気を使
うか、ということだ。ユダヤ教徒にとって、金曜日の日没から、土曜日の日没までは
、神が定めた休息の日。その間は、電灯をつけることを含めて39種類の行為が「
労働」に当たるとして、御法度となっている。現代の生活に当てはめると、照明のス
イッチを入れたり、自動車のエンジンをかけることも厳禁なのである。
ハルペリン師は「当研究所では、安息日でも使えるような電動車椅子の開発を進め
ている。圧縮空気で動く車椅子、というのも開発中だ」と説明する。
安息日に電気を使えないからといって、正統派ユダヤ教徒が終日、暗闇の中でひ
っそりと座っていると思うのは、勘違いである。金曜日、日が暮れないうちに電灯を
つけて、ずっとそのままにしておけば、暗闇の中ですごさずにすむ。ユダヤ教徒で
ない人に頼んでスイッチを入れてもらう、という手もある。また、安息日の前にタイマ
ーをセットしておけば、指定した時間に明かりを消すこともできる。

 
●抜け道も神が与えてくれたもの
信者たちの不便を解消するため、研究所はこのほど、画期的な装置「間接スイッチ」を
考え出し、特許を取った。安息日でも、明かりに覆いをかけて暗くすることは禁止され
ていないので、この点を応用したものだ。
この装置には豆ランプがついていて、それを何かで覆うと、装置がそれを感知して
、自動的に部屋の電灯やコンピューターのスイッチが入る、という仕組み。これなら
人が直接スイッチを入れたことにはならない、と言えるわけだ。この装置はすでに、
イスラエル国内の病院のナースコールボタンや、ホテルの部屋のカードキーなどに
組み込まれているという。

ここまで読んで「そういうやり方は、神様を欺いて禁止されたことをやってしまおう、
という考え方ではないのか」と思った方もいるかもしれない。そのことを、前出のバ
ネット顧問に尋ねると「どんな法律にも、抜け道というものがあります。それを使うと
神を欺くことになる、と考えるのは間違いです。抜け道もまた、神がわれわれにお
与えくださったものだから、使っても良いものなのです」と言って、にっこり笑った。
(イギリスMSN News)

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